コラム

朝日新聞に掲載されました!

フランスの歴史的ピアニストであるアルフレッド・コルトーの命日にあたる6月15日に、下関市の川棚の杜では、本年も偲ぶ会が行われました。
通常は、クラシック愛好家や一般の方々もご参加頂ける催しですが、コロナ禍の中、昨年と同様、関係者のみが会する事となりました。
翌日には、朝日新聞に「コルトー偲ぶ会」の模様が掲載されましたが、記事を読みましたという多くのお声を頂きました。
この場を借りて、皆様には心より御礼申し上げます。

フランスでは、パリの様な大都市に住む人々が、バカンスのための別荘を求めるべく、自然が綺麗で豊かな田舎の土地をよく訪れます。そして、毎年夏や冬の長期休暇になると、その別荘で家族や親戚と過ごすという、古くからの習慣があります。どれほど便利で洒落た都会に住んでいようとも、いえ、住んでいるからこそなおさら、美しい緑や澄んだ空気が恋しくなる様です。
紙上にも掲載頂きました、自身の拙いコメントにもありますが、コルトーは真の意味で芸術家であった人ですから、型にはまる事なく、彼の様に自由を重んじた偉大なピアニストが、この川棚の街の素晴らしい自然に惹かれた事は容易に想像できます。間違いなくコルトーの感性にぴったりフィットしたのでないかと(大変勝手ながら)私は思っています。
そして、この地を単に別荘のためとしてはなく、終の住処にしたいと願った彼の希望をいわばリスペクトして建てられた川棚・コルトーホールは、いつもこの偉大なピアニストが帰ってくるのを待つかの様に、そしてコルトー亡き後の新しい歴史を「コルトー音楽祭」の中で、国内外で活躍する演奏家や地域の皆様と共に作ってゆくべく存在しています。
コロナワクチン接種の普及により、再び自由に移動ができる暮しが戻ってまいりましたら、まだと言う方はぜひ一度、川棚の杜へ足をお運び下さいますと幸いです。

催しの間は、コルトーの十八番(おはこ)であったショパンの「24の前奏曲」と、コルトーの愛弟子で、没後50周年&来日60周年記念シンポジウムにもお越し頂き、いつもコルトーホールを気に掛けて下さっていた、ピアニストの遠山慶子先生(本年3月に逝去)によるモーツァルトの「ピアノ協奏曲第9番 “ジュノム”」の演奏が流され、お二方を偲びました。
天国で再会を果たされた昔の師弟は、どの様なお話をされているのでしょうか…。
来年は、没後60周年というまたひとつの節目を迎えますが、地域の皆様にもご参加頂き、改めて偉大な芸術家コルトーに思いを馳せる特別なひとときとなる事を願っております。


2021.06.17 23:55

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