コラム

モチベーションの理論とは

何かを始めようと思い立った際には、最後までやり遂げるという意欲を持ち続ける事が重要ですが、現実にはそれほど容易いものではありません。
人が行動を起こすために必要となる原動力をモチベーション(動機)と言いますが、最初のうちは(割と簡単に)誰もがその行動へのやる気を起こせます。しかしながら、実際にはそのやる気が続かないという事はないでしょうか。モチベーションがあっても、それを維持するというのはなかなか難しいのです。多くの読者の皆様も、それを既に経験されているのではないかと思います。
よく周りの若い大学生達が「モチベが上がらない」と言っているのを見掛けますが、このモチベーションとは一体何でしょうか。関心を持ちましたので、少し勉強してみました。

モチベーション、即ち動機には、ドライブ(動因)とインセンティブ(誘因)の2つがあり、前者は「自分の心の中からわいてくる感情によって行動へとつなげられる」、そして後者は「外から向けられた報酬等によって行動が始められる」という様な意味があるそうです。それらを、内発的動機付け、また外発的動機付けと呼びます。それぞれの人について、これらの要素の強弱を測る事ができますが、前者がより高次的であり、後者は低次的です。

モチベーションの研究では、ベースとなっているのがマズローの「欲求5段階説」です。
全ての人には①生理的欲求、②安全欲求、③社会的欲求、④承認欲求、⑤自己実現、という5つの段階の欲求があり、最低限の要するものの①や②から、⑤に到達するまで、より低い所から高い所へと言った成熟度を示していますが、その頂点は自己超越となります。
それを踏まえ、今から60年前に、マクレガーが「X理論・Y理論」というものを提唱しました。
X理論とは、「人は生来怠け者で、強制されたり命令されなければ仕事をしない」、そしてY理論は「人は生まれながらに何かが嫌いという事はなく、条件次第で責任を受け入れ、自ら進んで責任を取ろうとする」、つまり前者が性悪説で、後者は性善説です。
X理論の要素は、マズローの生理的欲求や安全欲求を多く持つ人に見られますが、Y理論の要素は社会的欲求や、承認欲求、或いは自己実現を多く持つ人に存在するそうです。Y理論がX理論よりも高次的であると言えます。
また、昨今では、人とのコミュニケーションにおける、アンガーマネジメントの重要性が謳われていますが、その怒りも常に悪者として扱われるべきではなく、その怒りの感情がエネルギーとなって、行動へのモチベーションを生むという事もあります。それが分かれば、もう「怒りを感じて、6秒待つ」という事をしなくとも済む様になるでしょうか。(アンガーマネジメントの理論では、怒りが込み上げても、6秒間待つ事で、爆発が抑えられると言われています。)私には大変共感できる怒りの活用法ですが、それがもし周囲への迷惑や、公害レベルになる程でしたら、やはり極力冷静を保つ様にして、怒りを静める方を重視すべきですね。

さて、この物事へのやる気を維持するためには、ロビンスの「期待理論」を知っておくと良いかもしれません。
ロビンスによれば、高いモチベーションが行動として表れるためには:
①努力が成果へと結びつく事が期待できる
②成果が報酬へと結びつく事が期待できる
③報酬が魅力的である
これら3点の関係が、全ての期待を高めるものである必要があるとの事です。

上記の他にも、ビジネス(部下の管理の方法等)における心理学者によるモチベーションの理論が存在する様ですが、全てを記載する事が叶いません。
まずは、よく自己分析をし、例えば上に示した要素の中で、何が自身の中では占めているのか、そしてリスペクトされているのかについて知り、それから目標を立てて、行動を起こすのが良いかと考えられます。つまり、自分自身を深く知るという行いが、やる気を高め、そして維持できるという事につながる訳ですね。
モチベーションとは、改めて奥の深いものである事を理解しました。

2021.02.12 23:55

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