コラム

人について深く「知る」とは

他人の言った事は、まず「何故か」と疑う所から始めなさい!

日本の文化・習慣とは大きく異なる点で、コラムでは度々登場する欧州の国、フランスですが、あちらでは小さな頃からこの様に大人に教わるのだそうです。

由来もまた哲学の国の慣習からであり、何にでもすぐ頷いて同意をするのではなく、何故人がその様に意見を述べているのか、はじめに深く考えるべきだとする教えです。
これは、例え血が繋がっていてもそうでなくとも、お互いの個々を尊重するという、確固とした個人主義の表れなのですね。
意思や感情の抱き方の異なる自分以外の人を、まずは知って理解する事が大切だという教訓です。
人間不信になりなさい、という事では決してありません!

さて、日本には、「信頼する」という独特の文化があり、人間関係を築く上では要のツールとなっています。
信頼の意味は、総じて「信じて頼る」、という事になるでしょうか。
その「頼る」には、助けとする、または極端には「依存する」というニュアンスも大いに含んでいるかの様に思えます。

信頼関係とは、一体何でしょうか。
私自身の携わる舞台演奏に例えるとすれば、アンサンブルをする際に、このアーティスト(またはオーケストラ)なら、理想とする音楽を作る上で、お互いの求めるものを真に理解し、それが綿密な話し合いの中で、或いは長らくパートナーである場合にはフィーリングや阿吽の呼吸を通して、成し得られると確信出来る事だと言えるのではないかと想像します。

しばしば「何も言わずにお任せする」という事が、信頼であるかの如く日本では捕らえられがちですが、それは恐らく甘える、であるとかすがると言った依存の意味が含まれていて、私はどうしてもその行為に親近感を抱く事が出来ません。

互いの意見や考えについて、例え時間を掛けてでも相互理解を深め、どちらかがどちらにより掛かる事なく、より成熟した人間関係をこの日本でも築ける様になれたらと、心密かに願っております。

2015.07.22 23:35

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