コラム

「第13回川棚・コルトー音楽祭」開催のお知らせ

暖冬のせいでしょうか、まだ2月であるにも関わらず、全国的に寒さが随分と和らいでいる様な日もありますが、今年は少し早い春の訪れになるのかしら、と期待しつつ、日々を過ごしております。
さて、桜の季節が近づきますと… 川棚で開催されます、コルトー音楽祭のお知らせです。
第1回から、様々な楽器、またアンサンブルによる編成で回を重ねてまいりましたが、この度はフランスのクラリネット奏者のフローラン・エオー先生をお迎えして、ソロリサイタルが行われる事となりました。

読者の皆様の中には、クラリネットをブラスバンドやオーケストラを構成する一楽器、という風にイメージされている方が少なくないかと存じます。
実は、クラリネットは管楽器では最も音のレンジが広く、いわゆるビブラートのない、まっすぐに伸びる透明感のある美しい音がメロディーを奏でるのにも適しているという事から、独奏のための作品としてその特性を生かせるという利点を持っています。 
実際に、シューマンやブラームス等のロマン派の大作曲家もクラリネットという楽器を好み、それを用いた室内楽の名曲を後世に残しました。

この度のプログラムでは、そのロマン派のクラリネット作品の傑作のひとつであるブラームスのソナタ第1番と、また20世紀のクラリネット作品を代表するプーランクのソナタが演奏されます。
一度は創作活動に終止符を打ったブラームスが、再び作曲家として息を吹き返す事ができたのも、リヒャルト・ミュールフェルトという素晴らしいクラリネット奏者との出会いがあったからこそ、それによってこの美しいクラリネット・ソナタは生まれました。
全てのアーティストはそうであると言えますが、晩年の作品において見て取れるのは、極みまで高められた芸術性と、音の中に映し出された人としての真実の姿であり、そうした作品を鑑賞するのは、ひとりの作曲家を知る上でも非常に意義のある事ではないかと考えております。

ブラームスが到達したその晩年の境地を、エオー先生がどの様に表現されるのか、期待される所ですが、またドビュッシーやプーランクと言った自国フランスの作品も含めて、日頃耳にされる機会の少ない貴重なクラリネット・ソロの名曲の演奏を、ぜひとも多くの音楽愛好家の方々にご堪能頂けましたら、心より幸いに存じます。

【京都フランス音楽アカデミー特別演奏会 第14回川棚・コルトー音楽祭~フローラン・エオー クラリネットリサイタル~】

クラリネット  フローラン・エオー,  ピアノ 田中しのぶ

◆日時: 2024年3月20日(水・祝) 14時開演(13時30分開場)
会場: 川棚の杜・コルトーホール(アクセス JR山陰本線「川棚温泉」駅下車,  タクシーで約5分)
◆プログラム: シューマン「幻想小曲集 作品73」,  ブラームス「 クラリネット・ソナタ第1番 ヘ短調 作品120-1」,  ドビュッシー「第一狂詩曲」,  プーランク「クラリネット・ソナタ」
◆チケット料金: 全席自由 前売り 一般 3500円,  高校生以下 1500円,  ペア(前売りのみ)6500円  *当日各500円増し,  未就学児入場不可
◆お問い合わせ: 下関市川棚温泉交流センター 川棚の杜 Tel 083-774-3855 

2024.02.29 23:05

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